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やはり受託からイノベーションは生まれない

Rubyのパパ、まつもとゆきひろさんの日記でコメントされていたところから、ちょっとしたブログ上の議論を見つけた。若干ていねいにリンクを追ってみる。

もともとは、辻俊彦さんのブログの、受託開発と自社開発で、
クオリティの高い受託開発力は、オリジナリティ溢れる尖った自社開発力を生み出す素地になると思っている。投資検討の評価においても、象牙の塔に籠る社員よりは、世間とのコミュニケーションに関心を払い、お客さまの心を掴める社員が多いことを開発型企業の評価において重要視している。

これに対して、大迫正治さんがご自身のブログの、「中毒性」ある受託開発がソフトウェアベンチャーの躍進を阻むで、
凡庸なものを作り続けていれば非凡なものを作る力が生まれる、という辻氏の主張には首を傾けざるを得ない。

と反論。コメントやはてな、トラックバック先などを見るとほとんどの意見が大迫さんに賛同するか、だから日本のIT業界はだめだ、みたいな勢い。もちろん僕も、「プロダクトマネージャーが不在どころか、認知すらされない現状」という点など含め、大迫さんに同意するが、かたや辻さんの立ち位置も「リアリティ」としてよく分かる。日本のIT業界で、たとえ受託をしていても、コミュニケーション能力と技術力とマインドを備えた中小企業のエンジニアや経営者が輝いて見えることも理解できる。

ただ、この辻さんがリアリティであり続けるなら、日本のITは未来永劫「サービス業」だろう。(さらにいうと言葉の上の対比で用いられているにしても、「製造業」になればいいのかというとそれも違う。その理由は最後に)

実はちょうど昨日、ある方から、Paul Grahamという人のYCombinatorというインキュベーション事業が「成功するインキュベーションモデル」として非常に注目されてはじめているという話を聞いたところだった。僕も愛用してるRedditなどはここから出てきたらしい。きわめてタイムリーなので対比させてみる。

Meet the Next Billionaires
Calling all geeks! Do you have a hot idea for a start-up? If so, this boot camp where Silicon Valley meets 'American Idol' is for you. That is, if you make the cut.


要は、若くて頭がよくてやる気もあるGeekを集め、最大$30,000程度を与えて、3ヶ月シリコンバレーのどこかで「合宿」させて何かを作らせる。3ヵ月後にプレゼンさせて、よさそうなら何かを始めさせる。期間中、Paul Graham含め、経験のある元起業家などが彼らと頻繁に食事をするなどしてなにくれとなく視野を広げたり、前に進むのを助ける。もちろん失敗もたくさんあるだろうけど、ひとつひとつの最初の投資が安いのがこのモデルのいいところだ。何より「失敗」したって誰も責めない。責めないどころか挑戦したことが讃えられる。

ここで再度引用するが、
クオリティの高い受託開発力は、オリジナリティ溢れる尖った自社開発力を生み出す素地になると思っている。

は、新しい価値を「生み出す」場としては、悪いが比べ物にならない。クォリティの高い受託開発をするのは、失敗をしないことで、よく働く、賢い、ユーザーと話せる、技術力がある、などという能力を示すことはできる。が、その先で、上記YCombinatorのように、何かを産みだすエネルギーの顕在化と、そのケアをうまくしない限り、「素地」は「潜在能力」で終わってしまう。

辻さんは最後に、それまでのコメントやトラックバックを受けたエントリーで、
何より、製造業ではなくサービス業に分類されているところに、現在の状況が象徴されている。(中略)ただ、日本の伝統工芸は、お客さまの声に耳を傾けたところからスタートし、時間をかけて熟成してきたものだと思う。


このあたりを読んで、「サービス業」と「製造業」の二元論も、僕の問題意識を完全には説明しない理由が分かってきた。「伝統工芸」といえるほど、日本人の特性などにのっとって昇華されたものであるなら、別に「サービス」でも「製造」でも価値があるものなのだ。

現在の日本の最大のIT業界の問題は、完全な「輸出入赤字」であることにあると思う。少なくとも30代以上は、小学生のころ「日本は資源のない加工貿易の国」って習ったと思う。僕らの日本は、何かの「価値」を国外に示さない限り、食べるものすら買えなくなってしまう国だ。まったく新しい「イノベーション」でもいい「伝統工芸」的な技でもいい、「リッツカールトンみたい」なITサービス(下記)でもいい。IT業界は、何か、国内で作り出した「価値」を他国に輸出してるだろうか。してない。

でも、シリコンバレーに1年いて思ったのは、
・エンジニアの「平均値」は日本だって相当高い
・日本のIT業界は、シリコンバレーのほとんどよりLong workしてる
ことだ。それなのに、そんなにがんばっているのに、「輸出」に足るものができない。もしくはあるんだけど認められてない。それこそ「素地」「潜在能力」はあるのに、顕在化していない。先週、米国進出を決めたというルナスケープの近藤さんとこっちでランチしたときに、彼は「うってでるかどうかを決めるだけの単純な問題。自分はもっと(数年)早く決断しなかったことを後悔してる」と言っていた。

ほんとそれだけの問題なんだと思う。日本人はソフトウェアだって決して悪くない。
ところで、最後のエントリで辻さんは、
(中略)リッツ・カールトンに代表されるサービス業の極みがソフトウエア業界では実現できないのか(必要ないのか)、引き続き模索を続けていきたい。

と結んでいる

模索するのは自由だけど、答えは出てると思う。Googleだって「WEB上で何かを探す」というユーザーの目的に対する「サービス」の今のところ極みだ。サービスって言葉でホテルみたいに人間が出てくる「サービス業」を究極の姿として結びつける時点でこの人はソフトウェアの何をわかってるんだろ・・・と感じの悪いことを心の中で思いつつ、話の拡散ついでに、僕が最初に見たまつもとさんコメント
まあ、受託なんてやってる会社は少なくとも「ベンチャー」ではないよな。NaClも含めて。全然冒険してないもの。まあ、私は冒険好きじゃないんで、それはそれで望むところではあるんだけど。

やる気があるのかないのか分からなくてなんだか萌えた。
Software | permalink | comments(9) | -

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この記事に対するコメント

トラックバックありがとうございます。
YCombinator、面白いですね。Paul Graham氏の考え方には大変共感します。
Masaharu | 2007/06/17 1:01 PM
お、ブログのご本人からコメントいただけて光栄です。Paul Graham氏には僕も非常に共感しました。

日本のIT業界については、あちこちでいろいろな人が同じ危機感を持っているのに、コメントやトラックバックを見ると「どうせ変わらない」という風雰囲気ばかり。ひとりひとりが行動して、そして最後に社会に還元する。これしか道はないんですけどね。
Yuki | 2007/06/17 2:48 PM
初めてブログを読ませていただきました。
VC側の人間です。日本でもYCombinator的な流れが広まって欲しいですね。GMOさんや三井物産が一部初めています。
miyo | 2007/06/19 1:34 PM
Miyo さん
はじめまして。コメントありがとうございます。新しい成功って無数の失敗からしか生まれませんもんね。玉石混交の中にしか本当の玉はない、というか。
だからその無数の失敗を低リスクで意図的に作り出すというのは、とてもcleverです。いろいろな意味で日本でもひろがるといいですよね。
Yuki | 2007/06/21 4:05 AM
はじめまして。
「どうせ変わらない」って層の人達って、「どうせ(待遇は)変わらない」って感じなんじゃないかな?
国内技術者の大半は、一山いくらってプロジェクトにアサインされる人が多いでしょうし。
un | 2007/06/28 6:34 PM
はじめまして。
一つ感じたのは、実は受託程度の才能しかない多くのプログラマが、事業計画のせいだ、はたまた経営者のせいだと、自分の境遇を悲観し合って傷をなめ合ってるだけの方達も多そうかと。いざ荒波に投げ込まれたら、「いやうちはやらなくてもいいんじゃないの?」ってなもんでしょう。
本当に「アドベンチャー」に付き合って、生き残る才能を発揮する職人がいったい何人いるものか、、、
ITは未成熟な市場だからこそベンチャーこそが花形的なところありますが、実のところ、業界がきちんと定着し発展するためには、作り手としての市場もレベルアップ、確立しなきゃだめじゃないでしょうか。
ひろ | 2007/07/05 3:54 AM
unさん、はじめまして!コメントありがとうございます。

「一山いくら」であきらめてると、もっとハングリーで安い同じ「一山いくら」な中国やベトナム人に明らかに負けてしまうか、為替レートや生活レベルをを無視して、彼らの人件費と比べられてたたかれてしまう・・・

最近僕がきわめて危機感を持ったのは、いっしょに働いている中国のオフショア企業のエンジニアのあまりのレベルの高さです。今、英語力、日本語力、技術力、プロジェクト管理能力のきわめて高い女性リーダーと仕事をしてます。僕の狭い経歴の中でも、五本の指に入る優秀さと仕事のしやすさですが、彼女は、なんとたったの27歳。4,5年の経験のみ

プロジェクトのパートナーとしては最高なのですが、彼女の年齢を聞いたとき、ガチで冷や汗が出るほどの危機感を感じました、うちのCTOには「何をいまさら」と一蹴されたのですがね・・・

「どうせ」といってらっしゃる方の一人とでもよいので、この危機感を共有したい。価格だけで負けてるんじゃないところまで来てるんですよ。。。(ちなみにこの会社、すでにJapan Passingをしていて1000人近い社員のほとんどはアメリカやアジアのほかの国と仕事してます)

自分のブログのコメント欄でぼやくのもなんですが。。。なんとかならないもんですかねぇ
Yuki | 2007/07/06 6:50 AM
ひろさん
レス遅くてすいません

まあ、とはいえシリコンバレーだって、別に「優秀な」学生やエンジニアのすべてがスタートアップにいくわけじゃありません。学生に人気の企業は「Intel」「Google」「IBM」らしいですから。安定志向層がいるのはいずこも同じ。

だから別に、「才能のない」人にまでアドベンチャーを強いる必要はないでしょうね(ただし、そういう人たちには評論してほしくないですが)

ただ、やはり、そうではな競争力のある人たちは多ければ多いほどいいわけで。ひろさんのおっしゃる「作り手としての市場もレベルアップ」するべきには共感します。ただ、日本人は平均値も学習意欲も高いので、競争は国際的に行われてるんだっていう、ちょっとした(でも大きい)意識の変化がおきるだけで違うと思うんですがね・・・
Yuki | 2007/07/11 7:09 AM
ナイスなエントリですね。いろいろ考えさせられました。

辻氏のソフトウェア業界におけるサービス業の極みのひとつがグーグルのだと思います。
サービスは人間がやるものではなく、ソフトウェアがするのですね。
中島聡氏の言う「おもてなし」にも通じるのではないでしょうか?

たしかに受託開発の現場からはイノベーションは生まれにくいですね。
リスクをなるべくとらない受身の人間が多数輩出されます。

モバゲーで有名なDNAが開発者に自由な研究をやらせようというのも、受身になりたくないからでしょう。
すぎじい | 2008/04/15 12:26 PM
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