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その5分は重要か?

おととい、昨日と、サンフランのWeb2.0 Expoに行って来た。Expo自体は・・・まあ・・・Web2.0ももう「エスタブリッシュなハイテク」という領域に入り込んでいて、大きな刺激はない。面白い情報もあったけど、総じてテンション低し。Oreillyも「まくり」に入ってる気がする。来年の告知が出ていたけど、ほんとうにあるんだろうか。

さて、2日目の昼ごはんを、会場で待ち合わせたこっちの友達二人と食べる。そのうち一人のYちゃんが、最近こっちで見たTVの話をしてくれた。

ディスカバリーチャネルかなにかだったらしいのだが、日本の技術を紹介する番組だった。テーマは「世界一の鉄道技術、新幹線」。

JRどこだかの鉄道研究所が出てきて、実験とか開発の様子とか、どれだけ一所懸命ハイテクを追求してるかが紹介される。終盤まで、それはそれはかっこいいらしいのだ。まさに「プロジェクトX」。しかし、最後の最後。新型新幹線の模型の前で、開発主任らしきおじさんがインタビューをうける。新しい新幹線の革新性を聞かれ、彼は、自信たっぷりに、

「これで、東京大阪間が、5分縮まるんです」

話を聞いた僕らふたりともずっこけた。ずっこけて爆笑。番組のほうでは、アメリカ人インタビュアーは絶句。プチパニックに陥ったのか、彼女は聞いてはいけない質問をする。

「その5分はそんなに大事なのですか?」

主任はまったく動じず、自信たっぷりに

「大事です」

僕らは、ひとしきり笑ったのだが、笑った後に、僕はなんだか少し悲しくなり、またうーんと考え込んでしまった。

こうやって鉄道会社は、顧客への(正確さという)サービス品質のために1秒、1分、1メートルの精度を、文字通り命まで削って追求している(僕は尼崎の脱線事故を思い出した)。そして、そういう追求は、電車だけでなく日本では普通のことだ。国民全体が、需要側になったり供給側になったりしながらそういう精度で社会、経済をまわしている。

悲しかったのは、それを外から見ると、こんなに滑稽かということ。
そして、その反面、日本はこれまで、こうやって突き詰めることで、感動的なまでの品質を生み出し、車にしても電化製品にしても「壊れない」「使いやすい」「なのに安い」の代名詞として世界で勝って来たわけだ。日本を世界一にした武器というのは、ほとんどこういう「90%でみなが満足するところを99%まで突き詰めた」結果のものといっていいと思う。その5分は本当に重要なのだ。だから考え込んでしまった。

たとえば、もしも「日本の運行ダイヤ」がそのまま世界の都市の鉄道に輸出できるものだとしたら、その正確さの品質にみんな感動するだろう。でも、ひとつ課題がある。それを成立させる裏の(時に非人間的な)努力が、たとえ感動的なほどであっても得られるメリットや幸福にペイするとどれだけの国の人が感じるかだ。

確かに、この「最後の5分」「99%」が日本人の最大の武器なのは間違いない。ものづくりには激しいアドバンテージだ。だけど、お互いにミクロで99%品質を求めあいそれに答えた総和が、マクロではペイせずに不幸すらも蔓延している、そんな社会になってる気がするのだ。尼崎の事故の背景(日勤教育など)は、そんな不幸の象徴に思える。

・・・とここまで、なんだか、回りくどい書き方をしてしまった、要は、僕個人はこの「99%要求」が苦手なのだ。子供のころから、どう考えても適応できていない。だから本当にその99.99%は必要なの?と疑問に思うところが強いかもしれない

では、僕が、僕らが、日本人が、ソフトウェアで世界で戦える強みはなんなのだろうか?製造業で強みだった気質は、そのままソフトウェアに出ても良いのだろうか?。ほかにあるのか?そして、それは僕らを幸せにするものなのだろうか。

Again.
その5分は重要なのだろうか。いや、重要なことは間違いない。でも縮めるばかりが、その重要な5分に対して出来ることではないのかも。もっと別のアプローチはないんだろうか。それを同じくらい一所懸命突き詰めたら、どうなるんだろうか。

そんなことを感じて、もやもやと心が晴れない、サンフランシスコの昼下がりだった。
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この記事に対するコメント

はじめまして。
 さて、1人に対する5分は大したことないかもしれませんが、1日何万人の利用する人たちの5分を創造しているのであれば、その影響は計り知れないのでは。
 本来もっと移動に費やさなければならない時間を自由な時間に変えてくれているわけですね。お金でもかえないし。これを技術レベルで創出しているならば大変すばらしい。
 そう考えますと、個人的には笑うどころか感謝感謝です。
かめよし | 2007/04/20 12:59 PM
かめよしさん。はじめまして。コメントありがとうございます。

まず僕は日本人ですので「5分」を理解できます。その努力自体を笑ったわけではないので、まずはそこをご理解ください。だからいっしょに笑った後悲しくなったのです。

そして、このエントリ、僕の連想ベースで書いているので、二つの話の境界が若干混ざってしまってると自分でも思います。

1.「え?これだけ頑張ってたった5分なの?」とアメリカ人インタビュアーがパニックするような感覚のギャップの話
会話をしてる人々はアメリカ人感覚なので笑ってますが、このギャップの話も結構深い気がします。

2.そこから連想した「日本人は99.99%を目指す」気質の良い面と悪い面の話

特にネガティブなイメージの話が、(同じ電車ネタなので)1.とつながっているようにも読めるので、ここで誤解されてしまうかもしれないと自分で思います。最初に言ってるように、このエントリの趣旨は、「ギャップを笑っちゃってもいるけど、そして不幸なこともあるけれど、結局それこそが日本人の美徳だよね」と言うことです。

日本人であるのだから、どんな分野であれ日本人の気質がうまく出てこそ、世界で勝負できると思ってます。すくなくとも、インド人のようにでもなく、中国人のようにでもなく、ロシア人のようにでもなく、ですね。まだ僕も考えがまとまりきってないし、まとまることもないほど大きな話だと思いますが、今回は会話しながらそれをはっきり感じたのでした。

返答になっておりますかね
Yuuki Ishikawa | 2007/04/20 2:36 PM

Ishikawaさま、ご返答ありがとうございます。
こちらの記述も反論的になっておりましたが、そんな気は毛頭ございませんでした。
まずはお詫び申し上げます。
(口頭であればそうはならないのに、活字はそう捉えられてしまうのは難しい限りです。)

 その上で、やはり「5分」こだわる理由をインタビュアーさんが聴いてくれれば、「おぉぅ」と唸る理由が返って(かも)しれません。
というか、それが知りたいですね。個人としての利潤を追求する限りは相容れない、「貢献」の志があるのだと思ったりしますがどうでしょう。

 日本人気質につきましては、全くもって同意です。日本人に生まれたのであれば、こだわりや独特の価値観は大事にしたいと考えております。
 とはいえ、結局は個人に行き着きますので、人種という土台の上に、「誰にも似ていない」自分を形成したいですね。良い意味で濃い人になりたい次第です。



かめよし | 2007/04/20 8:00 PM
かめよしさん
鉄道技術には門外漢ですが、安全性、騒音、快適さ、エネルギー、コストなど、「単純にスピードをあげればいい」というものではない、さまざまな制限事項をクリアした、血のにじむような「5分」なのだと予想します。それはすごいことです。

「貢献の志」については、番組は確かにそういうトーンだったようです。ただ、僕個人をミクロで見ると、ちょっと複雑ですね。それこそが僕らの個性、美徳でありつつ、360度すべてが「その5分を縮める」ことを良しとしてくる社会は少し息が詰まります。

どちらも同じもの。何事にも善悪両面あり、それも含めて個性、特徴なんでしょうけどね
Yuuki Ishikawa | 2007/04/22 10:27 AM
新幹線が博多まで開通したときの東京から博多までの所要時間は7時間くらいでした。それが今では5時間です。2時間短縮したといえば誰も驚くと思いますが、これはある日突然達成できたわけではなく、5分、10分の短縮を何度も繰り返した結果達成できたものです。各分野のトップレベルの技術を持ったところは、このようなレベルの積み重ねを地道にやっているわけで、たとえば飛行機の分野ではアメリカ人も同じことをやってきたのだと思います。
Katsushi Takeuchi | 2007/04/24 2:24 AM
Takeuchiさん
コメントありがとうございます。日本発世界という志を同じくするTakeuchiさんと僕ですが、最近、日本人のどこが良くてどこがだめだか(頭でなく体で)わかって来ましたよ。

× リスクをとって新しいことを始めたり、大きく変えたりすることが苦手

× 遠慮、謙遜が美徳なせいで、良いところもちゃんと表現しない。売り込まない

◎ 何につけても「良さ」「完成度」などへの要求が高く、またそれをちゃんと達成できる

今回のエントリーには、この3つがほんとうに如実に現れています。

だからですね、最初の×ふたつを何とか逆転して、最後の◎をきちんと突き詰めれば、「絶対すごい」わけですよ。言うは易しですが、これを本気で追求したいな、と。
Yuuki Ishikawa | 2007/04/26 12:27 PM
店番が買い物の勘定をスムーズにすませるには?という問題を日本人とアメリカ人に取り組ませると、日本式だと暗算やソロバンなどの属人的な既存の技術を発達させるアプローチになるのに対し、アメリカ式だと子供でも扱えるようなキャッシュレジスターを発明して導入するというシステム的なアプローチになるという話を思い出しました。
0083 | 2007/06/30 8:15 PM
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
賞罰の書き方 | 2012/05/31 11:23 AM
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